Vol.3 事の始まり つづき

床に倒れたわたしの周りには、多くの社員が業務中でした。

 

一人の上司が、びっくりして会社の医務室(医務室があったんです、この会社は)にかけこんで当直の看護婦(本当の看護婦の方かわかりませんが)の方に伝えてくれました。それから、私は車いすに乗っけられて医務室に運ばれました。一斉に注目を浴びてしまいましたが、そんなことを気にしている余裕は全くありません。

 

私の意識ははっきりしています。意識がはっきりしていますが、息は苦しくてしょうがない。しかも「死んでしまう!」と本気で思っているので、完全にパニックになっています。

 

「苦しいんだからどうにかしてよっ!」

 

そこには私の上司がたくさんいたのですが、もうなりふり構わず叫びました。

医務室で横になっても私の容態はよくならないので、救急車を呼ぶことになりました。

 

まもなく、近くにある大きな大学病院に運び込まれました。

ああ、これで何か処置をしてくれればきっと楽になる。そう思いました。

 

私の意に反して、医師から薬や注射は与えられず、ただただ休んでいるように言われました。

 

がっかりすると同時にもっと症状がひどくなるのではないかと、さらに不安になりました。隣には、1分1秒を争うような患者さんが運び込まれてきます。私は何のことはなく、ただ横になっているだけ。邪魔になっていることに気付くのに、そう時間はかかりませんでした。

 

1時間ほど横になっていました。完全に良くはなっていない状態ですが、ここにいてはいけない気がしてきました。

 

そのうち、会社から連絡を受けた父母も病院に到着し、心配そうに私を見つめていました。なんとなく、動けそうな感じになってきたので、帰宅する決断をしました。

 

ただ、自宅まで1時間弱。電車で帰るだけの気力が私には残っていませんでした。

私は、魂が抜けたような状態で父母と一緒にタクシーで自宅まで帰りました。

 

家に帰った時点で、私は翌日(木曜日)は会社に行くつもりでした。

たまっている仕事もたくさんあるし。一晩寝れば、良くなるはず。

そう思っていました。

 

ただ、これは大きな誤解で、この日が私の苦痛の日々の始まりました。

プライバシーポリシー お問い合わせ