Vol.19 過去を振り返る(その4)

中学時代。ふらつきと吐き気に悩まされた私は、いくつもの病院に診てもらいました。

 

めまい科にもいって、耳から変な水を入れられ、わざと目を回させるような検査も受けたりしました。

 

診断の結果は。。。

 

わからない。自律神経失調症ですかね。思春期にはバランスが崩れますからね。

時間が経てば治るんじゃないでしょうか。

 

これほど、がっかりしたことはありませんでした。

いくつもの病院へいってもこれですから、当時は同じような症状で苦しんでいた人も多くいたことでしょうか。

 

もう、薬とか何かで治すのはあきらめました。

我慢するしかないんだ、と。ここから先、自分の症状の原因とか、考えることをやめました。

 

その後、私は、何とか高校受験を乗り切り(奇跡的だと思いますが)、電車での通学が始まることになりました。

 

初日。入学式です。

朝から緊張で、吐き気が止まりません。

 

学校について、いよいよ式が始まる、といったときに吐き気と恐怖でその場から逃げ出したくなりました。いっそのこと、保健室にかけこみたかったのですが、かけこんだところで良くなるとも思えない。

そもそも、この症状がどういうものか、そのときは全くわかっていませんでした。

 

もう、我慢するしかありません。

手の甲の皮をもう一方の手の爪で強くつまみ、ひたすら我慢。

 

思いのほか、式が早く終わり、何とか乗り切れました。

 

我慢しての高校生活。

 

でも、わたしの心は「普通」であることに強くこだわります。

 

苦しいことを我慢して、部活もやりました。

 

文化祭の劇ではアナウンサーを演じました。

 

修学旅行(広島・岡山)にも行きました。修学旅行では、吐き気がひどくて、ほとんど食事がとれませんでした。でも、一人宿に残るのは「普通」ではないので、歯を食いしばってみんなと一緒に行動しました。

 

「普通」の呪縛はどんどん強くなっていきました。

 

自分はこういう症状が出る身体なんだ。

仕方ないんだ。

頑張って、歯を食いしばって、普通の人と同じように生きていくしかないんだ。

 

私の中学・高校生活に青春はありませんでした。

あったのは一向に調子が良くならないからだと、はちきれそうになるまで溜まったフラストレーションでした。身体の事を忘れて、何かを楽しむことはできませんでした。

 

そうして、一浪して大学に進学することになります。

受験勉強も大変でした。何せ、始終頭がふらついているので、普通に勉強することがままならないからです。

よく、東大などに合格した人が、一日10時間以上も勉強したとか言っていますが、わたしはそういうことができる身体が欲しかった。

 

勉強は思うように頑張れなかったけど、なんとか大学に行けてほっとしました。

大学に行くのも、私の中では「普通の人」がすることだったので。

 

その大学で私の呪縛の一つが解けることになります。

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