Vol.11 人生の転機

セカンドオピニオンで薬の処方にさほど問題はないということが確認できた私は、その後も年配の男の先生がいるクリニックへ通院を続けました。

 

その頃の私は、人生の転機ともいえるイベントをいくつか迎えていました。

 

1つ目は転職です。

最初の激しい発作で倒れたその会社から転職することにしました。体調のことが理由ではなかったのですが、後からみると、この決断が良い方に転んだように思います。

 

おそらく、最初の会社で働き続けても同じような環境で同じような体調で、全く改善されなかったように思います。ただ、改善されたのはまたその次の転職のあとなんですが。

 

転職は結構エネルギーがいることなのですが、不思議とさほど大変なことには感じていませんでした。自分の体調に対してはとても神経質で敏感な私でしたが、他の事については鈍感な部分も多くあったのです。これも今から思うとですが。

 

2つ目は一人暮らしです。それまで、自分の体調のことから、一人暮らしは無理だと思っていました。ですが、その頃、折しも流行った言葉があって。「パラサイトシングル」です。ご存じでしょうか?

 

一人っ子でもあった私はとにかく親元にいることが恥ずかしくてたまりませんでした。そんなこともあり、もう、どうにでもなれ、というような気持ちで一人暮らしを始めたのでした。

 

3つ目は結婚です。

一人暮らしをしてから、大分時間がたってからですが、結婚しました。体調のことを理解してもらうのは難しかったのですが、彼女は理解しようとしてくれました。なので、私もできるだけ自分の体調の事を話すようにしました。

 

それまでは、他人に体調の事を話すことは全くしませんでした。理解してもらえないだろうし、気まずくなるだろうし。悲しくなるだろうし。ようやく話すことができたのです。それでも、良くなったわけではなんでもなく、彼女とのデートで体調が悪くなり、救急車を呼んだこともあります。それでも、彼女はそばにいてくれたのでした。

 

体調がすこぶる悪い中でも、普通の人のようにこれらの転機を迎えることが出来て、私は幸せだと思いました。ただ、その、「普通の」ということが、私の体調のすべての根源になっていたことはまだこの時にはわかっていませんでした。

 

それから、私は2回目の転職をしました。

Vol.1に書いた発作からすでに15年がたっていました。

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